現在の運送業界は、労働時間の短縮や給料アップなど、良い環境となりつつあります。ドラ歴20年以上の経験があるわたしが、トラックドライバーに向いている人の特徴を解説します。ぜひ、あなたのトラックドライバーの適性を知る参考にしてください。
トラックドライバーに向いている人の特徴10個+α

早速、どのような人がこの職業に向いているのか具体的な特徴をお伝えします。
運転が好きな人
当然ですが、運転が好きな人はトラックドライバーに向いています。配送先や荷物の扱いに慣れてしまえば、運転する時間を満喫できるからです。
運転が好きであれば、長時間運転も楽しくなるでしょう。短・中・長距離コースを経験すれば、仕事の幅も広がり、自信につながります。
ただし、トラックドライバーは出勤時間が不規則なので、睡眠と栄養バランスに気をつける必要があります。
体力の使い方を考えられる人
トラックドライバーは体力勝負と思われがちですが、状況に応じて身体に負担をかけずに作業できる人が向いています。納品形態もさまざまで体力の使い方が上手いと、疲労を最小限にでき手際よく仕事ができます。納品形態を知れば、身体の負担を少なくする知恵と工夫が身につくでしょう。
しかし、納品先が急な坂道や積雪で体力がいる場面も存在するので、体力をバランスよく使うのが長期的に活躍できる秘訣です。
20年以上の経験から、主に3つの納品形態について解説します。
- 個別納品
個別納品とは、バラ積みとも呼ばれ、配達する荷物をすべて手作業で積込み、配送先へ納品する形式です。
パレットに荷物が載っている状態なので、台車やパレットローラーを使うと、体力の消耗を少なくできます。
配達件数が終わりに近づけば、目に見えて荷物が減ってくるので、一人で納品した達成感は大きな自信につながります。
毎日、配達件数をこなす体力が必要ですが、身体が慣れてくると、当たり前のようにできるでしょう。 - カゴ納品
車輪のついたカゴの商品は、カゴごと積込み、積まれた商品をそのまま納品します。カゴ納品は、時間を短縮できるのがメリット。納品と同時に、前日の空カゴを回収すれば、1件目の配達は完了します。テールゲートを使って納品するので、重量のある商品も、時間がかからずに済みます。
ただし、飲料のカゴだと、重量が300キロ前後となるので、カゴを引っ張るコツをマスターするのと、テールゲートの使い方に注意してください。 - パレット納品
センター間輸送では、大量の飲料や冷凍食品を運ぶため、パレット納品が主流です。積込みもパレットにある商品を、フォークリフトを使ってトラックに載せるので、実際に身体を使う場面は少ないです。フォークリフトやトレーラーの免許を取得していれば、活躍の場はかなり広がるでしょう。
体力を使うシーンは少ないですが、パレット納品は運転がメインになります。運転に神経を使うので、目・肩・腰が疲れやすいです。
時間を守れる人
時間を守れる人はトラックドライバーに向いているでしょう。配送コースは、店舗ごとに到着時間が決まっているからです。例えば、朝6時到着であれば、10分前には到着しなければなりません。1日のスケジュールを理解し、時間どおりに運行できれば、お客様に安心されるでしょう。
しかし、積込みや納品に手間取り、時間に追われると、冷静な判断ができなくなります。焦る状況でも、到着が遅れる旨を会社に連絡するなど、最善を尽くしましょう。
交通ルールを守れる人
トラックドライバーに向いている人の特徴の一つに、交通ルールを守る意識の高さにあります。安全運転ができる人は、事故のリスクを下げ、昇給や賞与のアップが見込まれます。
現代のトラックには、デジタコ(注1)がついており、渋滞や事故情報の連絡が入ります。交通ルールを守れる人なら、デジタコを味方に、より安全で効率の良い運転ができるでしょう。
時間に追われる仕事でもありますが、運転は慎重に、荷積みや納品はスムーズに、をモットーにスキルを磨けば、一目置かれるドライバーとなれます。
信頼できる人
トラックドライバーは、信頼される人になるのが大事です。会社の約束ごとを守り、当たり前に継続できる人は信頼されます。
体調不良者が出て、急に違う仕事を頼まれるケースは、あなたの能力が評価されている証拠。信用の積み重ねが、仕事の幅を広げ自信につながり、自己肯定感を高めてくれます。
確かに、信頼されるまで時間はかかりますが、安全確実に荷物を届け、同僚が困ったときに、サポートできる姿を示せば、確実に信頼を築けるでしょう。
自己管理ができる人
深夜から早朝に出勤する日が多いため、体調管理できる人はトラックドライバーに向いています。自身の健康に気を使い、遅刻や欠勤がめったにない人は、自己管理ができる人として会社の評価も高くなるのは間違いなし。身体が資本の業界なので、体調管理ができれば、長い間活躍できるでしょう。
ただし、お酒が好きな人は注意。アルコールの分解は個人差があり、点呼時に反応が出たら乗務できませんので、飲酒は節度を守ってください。
報告・連絡・相談ができる人
荷物がないとか、伝票が見当たらないとき、事実をすぐ報告できる人は、トラックドライバーに向いています。自分が判断できない場合、ひとりで悩まず誰かに報告できる人は、お客様からのクレームもなく、自身の身を守ることになるからです。
報・連・相を確実に行えば、仕事がしやすくなり、たいていのトラブルは解決できるでしょう。
積込みの際、商品が傷ついたとき、「大丈夫だろう」と自分勝手に判断せず、先輩や上司に相談するのが無難です。
コミュニケーションが取れる人
挨拶や仕事の相談など、必要なコミュニケーションが取れる人は、トラックドライバーに向いています。どんな人間なのかを周囲の人に理解してもらえれば、仕事に役立つ知識を得られる可能性もあるからです。
例えば、荷物が重くて台車が動かなかった状況を話せば、引っ張り棒を使うか荷物を半分にして運ぶ方法もあるなど、次に生かすテクニックが聞けるでしょう。
必要以上に話しすぎるのは禁物ですが、自己成長のきっかけになる要素は多分にあります。
清潔感がある人
第一印象は清潔感が大事。頭髪・制服・言葉づかいに気を配れる人は、トラックドライバーに向いています。身だしなみを整えると、個人の印象だけでなく、プロフェッショナルなイメージを与えます。看板を背負ったトラックも同様に、汚れたら洗車をして、綺麗な状態を維持すれば、会社のイメージも向上するでしょう。
ただし、過度に潔癖である必要はなく、相手に不快感を与えない努力ができれば、問題ありません。
一人黙々と作業できる人
担当コースが決まれば、運転と納品の繰り返しになるため、黙々と作業できる人は、トラックドライバーに向いています。事故や商品の破損がなく、淡々と仕事ができる人は、会社の評価も向上します。積込みや荷下ろしの要領がわかると、自然と荷捌きのスピードも上がるので、自分の時間を大切にしたい人は最適でしょう。
ただし、さまざまなコースを覚えても、単調になりがちな業務を長期的に続ける職業なので、忍耐強く続けられる適性が必要です。
+αトラックドライバーに向いている要素がなければ
以上、トラックドライバーに向いている人の特徴10個を挙げましたが、すべて満たす必要はありません。例えば、相手の気持ちになって行動し、信頼を勝ち取っていける人もいれば、積極的に話しかけて自分を理解してもらい、働きやすい環境をつくる人もいます。
わたしが未経験でトラックドライバーを始めたとき、運転が好きなのと、ひとりで淡々と仕事を遂行する能力があっただけで、現在、トラックドライバー歴21年目を迎えます。実際に経験してみると、頭で考えるより、できることが多いと感じています。
人により、性格や適性は違いますが、あなたもドライバーの可能性を秘めています。経験してみると、意外な才能が花開くこともあるはずです。
自分の適性は経験しないとわからないもの。強みを再発見して、あなたも活躍できるステージを見つけましょう。
トラックドライバーが不向きな人の特徴6個+α

トラックドライバー歴20年の経験者が、どのような人がこの職業に向いていないのか具体的な特徴をお伝えします。
運転に問題がある人
トラックドライバーは運転できて当たり前の職業。シートベルトをしない・スピード違反をする・信号無視など、日常的に交通違反を気にしない人は、トラックドライバーには向いていません。荷積み荷下ろし・到着時間・良好な人間関係など、運転以外にも仕事はたくさんあります。しかし、安全運転できなければ、他の仕事が満点でも、問題のある人として認定されてしまうでしょう。
わたしはドライバー歴20年になりますが、どんなに忙しく、時間に追われようが運転は慎重にします。極端な話、作業が遅いとか時間に遅れる程度の問題は、日常的に起こる出来事。トラック操作に注意を向けられる人のほうが評価されるのです。トラックドライバーの仕事は、誰かと競う仕事ではありません。積込みが遅いのは些細な問題で、事故やケガなく帰ってくるドライバーの方が、会社としてはありがたい存在なのです。
いかに真面目で常識のある人であっても、違反や事故を繰り返す人は、トラックドライバーには不向きでしょう。
身体の使い方が下手な人
トラックドライバーは身体が資本。無理な作業は身体を痛めるので、自分の身体を労われない人は長く勤められないでしょう。
わたしは、長距離・中距離・短距離コースの仕事をしてきました。仕事の厳しさは一長一短。長距離コースでは片道5時間以上が運転業務、短距離コースでは、運転よりも荷下ろしに時間がとられます。中距離は片道1時間超で、1件目についてしまえば、短距離コースと変わりません。長時間運転では、あえて休憩を挟みながら目的地まで走りました。頭で理解する以上に身体は疲れていて、10分の仮眠でも頭や身体がスッキリした記憶があります。市内配送では、納品がメインになるため、足腰に負担をかけないよう気をつけました。
例えば、カゴ台車で納品の場合、1台300キロはあるので重さを調整し2台に分けたり、店舗近くまで運び商品をバラして納品したり、身体に負担をかけない方法もあります。いずれにしても、身体が資本なので無理して頑張らず、自分の体力や年齢を考えて納品するとよいでしょう。身長が低くスマートな人でも続けられるのは、身体の使い方を熟知しているからです。
自分の身体を考えず、現場の状況や納品重量などを無視して頑張るだけでは、到底トラックドライバーを続けることはできないでしょう。
感情の起伏が激しい人
繁忙期になると、出荷数量が2倍近く増えるので、自分の仕事を片づけるので手一杯となります。忙しくなればイライラしたり、言葉づかいが悪くなったりするときもあるでしょう。荷物を運ぶ側も受け取る側も、どちらも忙しいのです。一時の感情で信頼関係を壊す人は、職業ドライバーには不向きでしょう。
現役ドライバーを20年以上してますが、毎年の恒例行事だと考えています。わたしは、深く考えず聞き流すスタイル。ただでさえ時間が惜しいので、無駄な時間を消耗したくはありません。ただ、感情的にならず、無理なものはできないという勇気も必要です。物理的に無理な注文をしてきたら、会社に連絡して指示を仰ぎましょう。
自分の都合で機嫌が悪いと態度に出ますので、相手に不快な感情を抱かせる原因に。自分の感情をコントロールできない人は、社員にも取引先にも距離を取られるでしょう。
時間にルーズな人
トラックドライバーの出勤時間は深夜時間が多いですが、遅刻を何度もすると、時間にルーズな人と見られます。一般の人が就寝している時間に出勤しますから、身体が慣れるまで大変でしょう。しかし、トラックドライバーは他の職種と違い、一人が遅刻または欠勤しただけで、1コース配送ができなくなります。
入社当初は、無断で遅刻や欠席をしないか、を見ている運送会社。出社する前提で予定を組んでいますから、遅刻が多いと非常に迷惑します。わたしは、他のドライバーが「今日は遅刻しなかったな」と聞くシーンもありますが、会社は結構本気で言ってます。出勤時間に来るか来ないかわからない人を、信頼できるでしょうか。
本人が思っているほど甘くなく、遅刻や欠席が会社に与える損害は小さくないと心得てください。サラリーマンである以上、どの職業も時間を守れない人は嫌われますから、10分くらい遅刻したって良いだろう、といった考えは今すぐ改めましょう。
協調性がない人
他のドライバーや倉庫の人、取引先と仲良くできない人は損をします。ドライバーは一人の時間が多く、無口であっても配送を通じて人と対面する仕事。話すことが苦手なら、人にあったら挨拶から始めてはいかがでしょうか。
ドライバーになりたての頃のわたしは、自分から話すのは苦手でした。挨拶や仕事の相談をするうちに、相手からいろんな話をしてくれるので、聞き役になるのも一つの手段。「休日はどう過ごしているの」「没頭している趣味はあるの」と、勝手に話題を膨らませます。人は誰かに話を聞いてもらいたい生き物。無理に話さなくても、相手に合わせるだけで、自然とコミュニケーションが取れます。
普段から人となりを周りの人にアピールしないと、仕事や人間関係に悩んだとき、だれにも相談できなくなります。社員全員と仲良くしなくても、自分を理解してくれる人が一人いるだけで、モチベーションが上がるのは間違いありません。
一人で仕事をするのが苦手な人
トラックドライバーは、1日30件の配達や片道4時間以上の運転を毎日しています。他業種と違うのは、自分の担当コースを一人でこなさねばなりません。一人でやりきる忍耐力がなければ、トラックドライバーになるのは厳しいでしょう。
雨が降ろうが雪が降ろうが、仕事は待ってくれません。わたしも例外なく、道路状況が悪い中、「何のために一人で頑張っているのだろう」と、考える場面はたくさんあります。いつ終わるかわからない状況で、目の前の仕事を一人で片付ける時間。
今まで続けられたのは、待っているお客様がいるから頑張れた、というのが正直な感想です。社員の中には仕事が嫌になり、途中でトラックを放置して帰った人もいます。
トラックドライバーは、一人で荷物を捌くのが基本。どんな状況下でも、一人でやりきる忍耐力は必須です。一人で仕事をする覚悟ができなければ、トラックドライバーになったとしても苦労するでしょう。
+αトラックドライバーが不向きと感じても
以上、トラックドライバーが不向きな人の特徴6個を挙げましたが、当てはまったとしても改善できれば問題ありません。身体の使い方が下手なら自分で工夫し、時間にルーズなら生活スタイルから直しましょう。欠点を克服すればトラックドライバーになれます。自分を過小評価せず、自信をもって目指してはいかがでしょうか。
トラックドライバーの仕事内容

荷物を積んで目的地に運ぶのがトラックドライバーの仕事です。スーパー、コンビニなど生活に密着した食材・食品の配達を前提に解説します。
積込
トラックをセンター(倉庫)に接車し、担当エリアの荷積みからトラックドライバーの仕事になります。1件目が先に取り出せるように、積込み順は最後の納品先から積み始めるのが基本。荷物を積み終えたらトラックの運転開始です。
配送
到着時間は決められていますが、決して焦らず、取引先まで安全に届けるのがドライバーの仕事です。トラックドライバーは、事故や商品の破損がなく無事に帰社する運転手が重宝される職業。急のつく操作(急発進・急ブレーキ・急ハンドル)をしないよう意識し安全運転を心がけましょう。
荷下ろし
店舗に到着したら、荷物を下ろすのもトラックドライバーの仕事の一つです。手運び納品であれば伝票を確認、台車やカゴ納品なら店舗名と台数をチェックして納品。間違えて納品すると、別車(注2)の手配や代替え商品の準備など、非常に手間のかかる仕事が増えるので、伝票チェックはしっかりしましょう。
1日のスケジュール管理
トラックドライバーは、1日の仕事の流れを把握し効率よく作業しなければなりません。店舗により到着時間が決まっているため、荷積みから手際よく作業する必要があります。時間を意識すると積込み・荷下ろしに何時間、運転時間はどのくらいかかるか、体感でわかるようになるでしょう。曜日によって荷物が多い日と少ない日があり、時間に余裕があるからといってゆっくり作業する理由はありません。トラックドライバーの仕事は他の業種に比べ労働時間が長いので、早く仕事が片付いたら速やかに帰社しましょう。
トラックドライバーにも種類がある

スーパーやコンビニなどに運ぶ荷物が同じでも、地方と市内では仕事の大変さや楽さに違いがあります。市内・近郊では小型・中型トラックのため、配達件数が多い傾向があり、中・長距離では中型・大型トラックのため、配達件数は少ないが荷物の総重量が大きくなる傾向があります。
北海道を例にしますと札幌市内・近郊が短距離ドライバー、函館・旭川・帯広などの地方配送が中・長距離ドライバーに該当します。距離の目安は以下の通り。
- 短距離ドライバーは片道100キロ以内
- 中距離ドライバーは片道300キロ以内
- 長距離ドライバーは片道300キロ以上
市内配送か地方配送かで配送形態も大きく変わるので、一概に、自分はトラックドライバーに向いていない、と考える必要はありません。市内か地方かで配達件数や重量が変わるため、担当コースがつらいと感じるなら、自分の適性に合ったコースを選ぶことも可能です。例えば、体力に自信があれば配達件数の多い市内配送を、運転が好きな人であれば運転時間が長い地方配送を希望するなど、実際に経験してから選ぶのも良いでしょう。
面接官が採用を決めるポイント

トラックドライバーになりたいなら、運送会社に就職しなければなりません。面接で有利になる運転記録証明書と、ドライバー経験の有無の2点について解説します。
運転経歴にかかる証明書編
運送会社の面接では、履歴書のほかに免許証と運転記録証明書を求められます。運転経歴に関する証明書は以下の4つに分類されます。
- 無事故・無違反証明書:無事故無違反で経過した期間を証明します。
- 運転記録証明書:過去5年・3年または1年の交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の記録について証明します。
- 累積点数等証明書:交通違反や交通事故の点数が、現在何点になっているかを証明します。
- 運転免許経歴証明書:過去に失効した免許、取り消された免許又は現在受けている免許の種類、取得年月日等について証明します。
運転経歴に係る証明書|自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)より引用
「運転免許証だけではダメなの?」と考える人もいると思います。
- 運転免許証は運転資格を確認する書類。
- 運転記録証明書は交通違反歴・交通事故歴・免許停止歴などの詳細が書かれた書類。
運送会社は応募者の運転履歴を確認するため、安全運転ができているかを詳しく見るために要求します。過去3年か5年の運転記録証明書を求められるのが一般的です。
運転記録証明書の見本

運転経歴に係る証明書|自動車安全運転センター (jsdc.or.jp)より引用
運転記録証明書が白紙(以下余白)であれば、過去3年又は5年間違反や事故がないことを証明しており、記載があれば年月日と違反や事故履歴が記載されています。違反事故歴がない人は有利に間違いありませんが、駐車違反・シートベルト未装着などの軽微な違反歴だけで不採用にはならないでしょう。例外として、違反歴が多い・事故歴がある・免許停止の行政処分歴があるなど、証明書だけを見ても運転に問題がある人は、採用を見送られる可能性が高いです。運送業界も人手不足が深刻ですが、誰でもいい訳ではありませんから、安全運転を証明できる人が有利でしょう。
トラックドライバー経験の有無編
トラックドライバーの求人には未経験者歓迎、経験者優遇と書いてあります。実際は文字通りで、経験あるなしに関わらず採用条件を満たせば合格可能。採用条件について、面接官は未経験者と経験者の何を見ているのか解説します。
未経験者
異業種からの転職者や新社会人でトラックドライバーの実績がない人は、なぜドライバーをしたいのかを聞きたいのです。ドライバーを選んだ理由をしっかりと説明できれば採用の可能性は高いでしょう。
下記は面接で気をつける主なポイントです。
- 適性:運転が好き・体力がある・時間を守れるなど自分の性格を理解しているか。
- 技術:未経験とはいえ普通免許を取得しているのが前提。事故や違反歴がないか。
- 人柄:社員同士協力して仕事ができるか。
- 健康:身体が資本の業界。暴飲暴食せず自身の健康管理ができているか。
経験者
前職がトラックドライバーで経験者の場合、前の職場の何が原因で退職したのかを問われます。業務指導が横柄であったとか、労働時間が長すぎたなど共感できる理由も考えておきましょう。
下記は経験者ならではのポイントです。
- 適性:安全運転に対してどのように取り組んでいるか。
- 技術:中型・大型自動車免許があるか。トラック運転歴に事故や違反はないか。
- 人柄:プロ意識を持ち周囲の人と協力できるか。
- 健康:過去の実績を踏まえて、足腰のケアや目の疲れなど、自分の身体を大切にしているか。
経験者からひと言

わたしは氷河期世代で仕事を探すのに苦労した人間。大学卒業後、経理事務に8年従事しましたが、親の期待に添うため選んだ道でした。資格があるからとか、人の期待に応えるために仕事を選んだ結果、苦しくなりました。
心機一転トラックドライバーの職業を選んだのは、運転が好きだった、それだけの理由で気がつけば20年経ちます。もちろんトラックドライバーは運転できて当たり前。荷物の積込み・荷下ろし・お客さんとのコミュニケーション・職場を自分の働きやすい環境に変えるなど大変な時もありました。
トラックドライバーは誰でもできる仕事ではありませんが、酸いも甘いも経験してきたわたしから言えるのは、経験しないと自分の身体に合っているかわからないというのが本音です。
トラックドライバーの向き不向きを判断材料の一つとして、少しでも興味があれば、ぜひ求人情報に目を通してみてください。
トラックドライバーに関する質問・回答

質問①人間関係に疲れドライバーにあこがれている。考えが甘い?
趣味が長距離ドライブでトラックドライバーに興味を持っています。現在建設業をしていますが、元請けと下請けの仲介役のポジションが自分の性格に合わず転職を検討中。
普通自動車免許AT(オートマチック)車限定しか持っていません。荷物の積込みや積み下ろしに体力が必要で、労働環境も過酷だと聞きます。しかし、建設業の人間関係に疲れドライバーにあこがれているのも事実。考えが甘いのでしょうか?自分のような人間でも使ってもらえるでしょうか?(20代後半男性)
趣味が長距離車中泊ドライブの人は長距離トラックドライバーに向い… – Yahoo!知恵袋
回答①適性があっても仕事ができるかは別問題。
適性はあるが仕事ができるかは別問題。適性と熱意・労働環境・免許の観点から慎重に考えましょう。
・適性と熱意
長距離ドライブが好きな点は、トラックドライバーに向いています。未経験で普通自動車免許しかなくても、トラックドライバーになりたい理由と熱意を面接担当者に伝えれば、経験の有無を問わずチャレンジする価値はあります。
・労働環境
トラックドライバーは運転はもちろん、荷物の積み下ろし作業があります。荷物の種類にもよりますが、身体を使うのが基本。体力に自信があればなお良く、急な予定変更にも、柔軟に対応できる臨機応変さが必要です。荷主の取引先や社員とも、良好な人間関係を築かなければなりません。一人仕事のイメージが強いようですが、意外にも周囲の人とコミュニケーションが取れる人のほうが優位です。
・免許について
一般的に運送会社は、中型自動車免許を取得している人を希望します。未経験歓迎の運送会社では、免許授業料を負担してくれるので、段階的に実績を積むことも可能。ただし1年に満たず退職した場合は免許料を請求されます。
質問②トラックドライバーに憧れている。トラックドライバーになった理由は?
トラックドライバーになった理由は何ですか?わたしは普通自動車免許を取り2年目。トラックドライバーに憧れるが、新しい道路を走るのが怖いです。運転に向いていなかったら辞めるべきですか?免許(中型)はいつでも取ろうと思っています。(年齢性別非公開)
トラックドライバーの人に質問です。ドライバーになろうと思った理由は… – Yahoo!知恵袋
回答②理由は様々。憧れと実務は違うので注意。
・トラックドライバーになった理由
わたしは運転自体好きだったので、トラックドライバーに就きました。どんな仕事でも、未経験からスキルを上げていくもの。トラックの操作・荷積み荷下ろし・到着時間を守るのが1日の流れです。
土地勘のない道路を走るのが怖いと思うのは当たり前。会社がどれだけ仕事を持っているかにもよりますが、担当コースが決まれば出勤・退勤・配送ルートは変わりません。毎日決まったコースが好きな人もいれば、違うコースを走りたい人もいます。トラックの運転に慣れないうちは、決まったコースを走り運転スキルを磨くのが良いでしょう。
・憧れと実際は違う
トラックを運転・荷捌きできなければ、トラックドライバーになれません。しかし実際は、トラックドライバーの荷積み荷下ろしが、体力的に厳しいため辞めていく人がほとんど。運転が嫌いで退職する人は少ない傾向です。免許がないうちは、先輩ドライバーに横乗り(注3)させてもらい、トラックドライバーの仕事を経験してみるのが一番。運転と仕事内容を考えてから、自分に向いているか判断するとよいです。
質問③トラックに乗り始めて3日後に事故が。どのように立ち直りましたか?
トラックドライバーデビュー3日後に、客先のフェンスにトラック後方をぶつけてしまった。未経験で飛び込んだ職種で非常に落ち込んでいます。向いていないのでしょうか?ドライバーをやっている人はどのように立ち直りましたか?(年齢性別非公開)
トラックドライバー独り立ち3日後に客先の駐車場内フェンスに後方をぶ… – Yahoo!知恵袋
回答③ベテランドライバーでも事故は起こします。しかし苦い経験こそ身を守るスキルになる。
わたしも未経験からトラックドライバーになり1年経った頃、冬にスリップ事故で雪の壁に衝突した過去があります。デビューして間もない事故ですから、ショックは計り知れません。どんなベテランドライバーでも、少なからず不注意からの事故はあります。
職業柄事故のリスクを毎日背負って働いているので、苦い経験ですが良い勉強だと考え、次に活かすよう努力しましょう。一つ一つの経験が、あなたの身体を守ることにつながります。今後も「ヒヤリ」「ハッと」するシーンがあるでしょう。今回の経験で、バックミラーやバックカメラだけで後ろの状況がわからないときは、黙視(注4)または一度降りて確認する慎重さも必要です。
(注2)別車とは、急な配達に駆り出されるドライバーです。